2008年4月24日木曜日

ここがおかしい!ビルマ国民投票

ビルマ市民フォーラム  
ヒューマンライツ・ナウ
2008年4月6日


2008年2月9日にビルマ軍事政権(SPDC)は国営放送を通じて、起草作業中の新憲法案の賛否を問う国民投票を今年5月に実施し、新憲法に基づき複数政党が参加する総選挙を2010年に実施すると発表いたしました。しかしこの国民投票、1990年の総選挙結果を完全に無視し、民主化勢力や諸民族代表者らとの議論もないまま、軍政が一方的に起草したものでありとても多くの問題点が指摘されています。


(1)新憲法草案の「基本方針」が持つ問題点は下記のとおり
●2院制(地域代表院と民族代表院)を採用するものの、両院とも25%の議席は 国軍関係者が確保する
●外国と関係があるとみなされる者は議員になることができない(よって亡夫が 英国人だったアウンサンスーチーは立候補できない)。
●大統領と副大統領(2人)計3人のうち1人は国軍関係者でなければならない。また 大統領は行政・政治・軍事に関する知識を持つ者でなければならない。
●大統領は国民の直接選挙で選ぶのではなく、国会議員から選ぶ関接選挙である。
●憲法全体を通じて国軍のビルマ国家における特別の地位が保障されている。特に 治安維持が必要とみなされた場合、国軍が一時的に全権力を掌握できる規定が盛り込まれている(すなわち、国軍による監視つきの「議会制民主主義」であり、合法的「クーデター」も可能となる)。

(2)国民投票が公正に実施される保証がない
軍政がつくった事実上の官製「NGO」である連邦連帯発展協会(USDA)が総動員され、 国民投票で「承認」の投票をするよう有権者にさまざまな形で圧力が加えられる可能性が大きい。また、開票においても、不正がなされる可能性がある。これを防ぐためには国際監視団の受け入れが必須だが、軍政は受け入れを公式に拒否している。

(3)2010年に実施予定の総選挙も公正に実施される保証はない
上述のUSDAによる有権者への有形無形の圧力、NLD系候補者への選挙妨害、アウンサンスーチーの立候補禁止など、いろいろな「制限」「介入」が容易に想像できる。開票においても国際監視団の受け入れが認められなければ信用できない。

(4)5月の国民投票で賛成票を投じるよう、圧力をかける軍政
国民投票に向けた準備を着々とすすめている軍事政権だが、すでに賛成票を投じるよう様々な形で市民へ圧力をかけている。異議を唱えた市民を逮捕するなどの事態が起きている。