2008年5月9日金曜日

サイクロン緊急声明

本日、ビルマ市民フォーラムはビルマ中・南部を襲ったサイクロンによる被害が拡大していることを受け、以下の声明を発表いたします。

また、ビルマ市民フォーラムはサイクロン被災者救援のための基金を設置しました。(詳細は以下、声明の最後をご確認ください。)出来る限り人々の手に確実に渡る支援先を選びみなさまからの支援金を現地へ届けます。

みなさまのご支援をどうぞ宜しくお願いいたします。

ビルマ市民フォーラム
事務局長 渡辺 彰悟(弁護士)


【緊急声明】
ビルマ(ミャンマー)・サイクロン - 被災者の手に届く支援を!

5月2日から3日にビルマ中・南部を襲った大型サイクロン「ナルギス」による被害が拡大している。軍政は5月7日現在、サイクロンによる死者数を約2万3000人と発表している。しかし、駐在大使館関係者や人道支援を行っているNGOなどは、死者は10万人を越えるとの見方を示している。負傷者や水・食料・避難場所を確保できない被災者は数百万人以上にのぼるとみられている。

軍政はサイクロン情報を住民に事前に伝えなかった。さらに、被害の甚大さが明らかになっているにも関わらず、一部地域を除いて国民投票を予定通り5月10日に実施する旨発表している。ヤンゴン管区の40の郡およびイラワジ管区の7つの郡でのみ、投票日が5月24日に延期された。被災地で多くの人々が最低限の支援も得られていない状況を受け、軍事政権は国民投票の実施よりもまず、人々の救援活動に全力を尽くすべきである。

軍政はまた、国際社会からの緊急人道支援の受け入れにきわめて消極的であるために救援活動が遅れ、被害が拡大している。さらに、ラングーンで軍政当局が僧侶による支援活動を妨害したり、貴重な物資を高い値段で市民に売っているなどという報告もある。軍事政権が「人災」を起こしているも同然である。[★]

基本的人権が保障されていない軍政下のビルマにおいては、真の援助ニーズを把握し適切で十分な援助活動をすることが非常に困難な状況かと思われる。援助を行う際はこれまでビルマの人々を抑圧してきた軍事政権を利するようにならないよう注意する必要がある。

日本を含めた各国政府や国連機関、国際援助機関、企業などが支援金や救援物資の提供を申し出ている。それらの支援金や救援物資が、援助を必要としている人々に配布されるかどうか、援助をする側はよく確認し、留意する必要がある。

軍政は国民の救援や生活の建て直しに全力を尽くすべきである。援助を申し出ている政府や国際援助機関、NGOなどの活動への制限を解除し、迅速に効率よく援助が行き渡るように動くべきである。


2008年5月9日
ビルマ市民フォーラム

問合せ先:
ビルマ市民フォーラム事務局 03-5312-4817
ビルマ情報ネットワーク 080-2006-0165

追記)
ビルマ市民フォーラムは1996年12月に結成された市民団体で、ビルマ(ミャンマー)における人権の確立と民主化の推進を目標に、国内在住のビルマ人(難民および難民申請者を数多く含む)、ならびにこの問題に関心を有する多くの日本人と共に、さまざまな活動を続けています。


★軍事政権は被害拡大が明らかになった6日、「国内外からの援助を歓迎する」と表明。副外相を救援受け入れ担当とし、各国・支援機関と個別に交渉する方針を示した。だが物資を受け入れたのは中国やインド、タイなど軍事政権側から見た友好国だけだった。軍事政権は8日、ビスケットや医療器具など45トンを積んだ国連機の物資輸送を受け入れたが、欧米諸国からの受け入れは依然として拒否している。救援要員の受け入れにも門戸を閉ざし、医療団体の多くにビザを発給していない。(5月8日付、毎日新聞) 
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080508-00000108-mai-int

★大型サイクロンの被害に遭ったミャンマーへフィリピンから派遣される予定の緊急医療チームが、マニラで足止め状態になっている。フィリピン政府は7日からミャンマーに入国許可を打診しているが、一切返答がないという。医療チームは災害現場の経験が豊富な医師や看護師ら15人で構成。マニラのミャンマー大使館にビザ(査証)発給を求め、現地で必要とされる薬品類も問い合わせている。チームを率いるリベラ医師は「災害には初期の対応が重要だ。物資だけを送っても、専門知識を持った医師が現場入りしなければ助かる命も救えず、犠牲者がさらに増える可能性がある」と警鐘を鳴らしている。(5月8日付、毎日新聞)
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080508-00000105-mai-int

★ミャンマー軍事政権は8日、米国によるサイクロン被災の緊急支援の申し出を拒否した。今後、タイのサマック首相が軍政に米国の支援受け入れを促すという。サイクロンによる死者は10万人を超える恐れが出ているほか、被災地では水や食糧が不足し緊急支援が必要になっており、人道支援の申し出を拒む軍政の姿勢には批判が強まりそうだ。 (5月8日付、時事通信)http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080508-00000192-jij-int

★ラングーンでは僧侶らが住民に食糧を配ったり、倒木を片付け、家を建て直す手伝いをしているが、軍政当局は僧侶たちに対し、僧院を避難所として使わないように命令した。軍政はは僧侶が生存者を助けたり路上で作業をしたりする写真を出版しないよう、報道機関に命令した。僧侶たちが生存者に水を配りたいと思っても、まず当局の許可を取らなければいけない。(5月7日付、イラワディ誌)http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=11823

★ラングーンで、サイクロンで被害を受けた人に軍政当局が食糧を売ると発表したが、サイクロンの被害で衣食に事欠く住民には買えないほど値段が高い。また、ラングーン各区の平和発展評議会(地元当局)事務所でも米や食用油、屋根用の材料などを売っている模様。(5月7日付、DVB) http://english.dvb.no/news.php?id=1215

★ビザ発給や税関通過の遅れで援助関係者の入国や物資の送配布が滞っているとして、国連ががビルマ軍政に緩和を求めた(5月8日付、イラワディ誌)
http://www.irrawaddy.org/article.php?art_id=11837


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サイクロン被災者支援のお願い
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ビルマ市民フォーラムは、今回のサイクロン被災者救援のための基金を設置し、出来る限り人々の手に確実に渡る支援先を選び、みなさまからの支援金を現地へ届けます。みなさまのご支援をどうぞ宜しくお願いいたします。

支援金振込先   
郵便振替:ビルマ市民フォーラム:00110-6-729698
※通信欄に「サイクロン被災者支援」とお忘れなくご記入ください。支援金は全額被災者支援にあてさせていただきます。

■ 支援先一覧(2008年5月9日現在)
仏教救援協会 
http://www.brelief.org/cyclone/cyclone_relief.html
家屋が破壊された被災者の多くは僧院で避難生活を送っています。仏教救援協会のネットワークを通じて、僧院に避難している人々へ確実に届けられます。