2008年5月4日日曜日

アウンサンスーチーの言葉

2005年6月19日、アウンサンスーチーさんの60歳の誕生日を記念して、ビルマ市民フォーラムは在日ビルマ人 の民主化活動家のみなさんと『アウンサンスーチーを忘れない!!~軟禁下で迎える60歳』を実施しました。その時にビルマ人のスタッフと一緒に集めたアウンサンスーチーさんの言葉を少しご紹介します。




「1990年の選挙が、もしビルマと世界中の人々をあざむく結果になったのなら、本当に残念で悲しいことです」(1995年11月に、国民民主連盟(NLD)の全員が国民会議から除名された後に、NLDが出した声明より)

「国民には、憲法の基本法案が作成される過程で、話し合いに参加する権利があります。それは直接的にではないかもしれません。国民が選出した代表をとおして、開放的に自由に話し合い、草案作りを重ねることによって、憲法の基本法が国民の願いと一致するものだということが分かります。このやり方で憲法草案が作られないならば、それが人々の願いと一致しているかどうか評価するのは、非常に難しいでしょう。」(2003年5月、「DVB(ビルマ民主の声)」とのインタビューより)

「日本とビルマとの関係は他に類を見ない特別なものです。われわれ二国間の歴史的、経済的きずなのおかげで、日本国民は、ビルマの民主化運動を推進しようとする国際的な行動に参加するまたとない機会にめぐまれています。ビルマの民主化勢力に対する弾圧が熾烈をきわめているこの困難な時期において、私たちは世界中の友人たちが、ビルマ国民との連帯を身をもって示してくれることを期待しています。ビルマ国民が求めているものはただひとつ、すべての人間にとって当然の権利である、敬意と思いやりのこもった扱いです。」(1996年12月21日、ビルマ市民フォーラム設立に寄せられたメッセージより)

「民主化と人権のための闘いにおいて、私たちは同胞であるアジアの人々からより多くのご支援を頂きたく思います。特に日本の皆さまには民主主義への闘争において強固な姿勢をとっていただきたいのです。日本は世界に誇る経済大国の1つです。そして、民主国家でもあります。またアジアにおいて最も裕福な国です。最も裕福なアジアの国そして民主国家として、日本は他のアジア諸国における人権ならびに民主化の定着を促進するよう努力する義務があるのです。」(1999年11月23日、浜松で行われた”愛と平和のための自由式典”において日本の人々にあてたメッセージより)

「ビルマの問題は一国の問題ではないのです。独裁政権に苦しめられている人々すべての問題です。ビルマの人々の苦悩は、法によって人間としての尊厳が守られていない人々すべての苦しみなのです。ビルマの問題を議論するにあたり、世界中で人権侵害に苦しめられている人々すべての事例も考慮にいれて議論させていただきたいと思います。」(1998年3月、国連難民高等弁務官事務所に向けた演説より)

「この国が法によって支配されないかぎり、また、生きるための基本的な権利、つまり、生きるための必要最低限な権利を人々に保障する政治体系がないかぎり、ビルマの国境から流出する難民の数は増えつづけるでしょう。その難民とは、政治難民です。かれらは、牢獄でひどい扱いを受け、釈放後この国に留まっていられないと決意した政治犯、そしてある政治的活動によって近い将来逮捕されることにおびえ、この国から逃亡する人たちです。しかし、前でも触れましたが、最もひどい場合では、生きるために国を離れなければならない人たちもその中にはいるのです。」(1998年3月、国連難民高等弁務官事務所に向けた演説より)

「私は望んでばかりいて行動しない人たちを信頼していません。私たちは自分たちの目標を達成するために活動しています。私は努力もしないで願う権利はないといつも言っています。ゆえに、私たちはこの国とって必要な状況をもたらすために一生懸命になって行動しています。だからこそ、いつか交渉のテーブルにつけることに自信があるのです。このような姿勢こそ、たとえ最も凶暴な独裁者を相手にしたとしても最終的にはうまくいくために必要なのです。」「政府は国の安全を考慮しなければなりません。それはすべての政府の義務の一部にすぎません。しかし、多様な民族がいる国において真の安全とは、団結によってのみ達成できるのです。」(1999年10月22日、タイム誌)

「ビルマについて行動を起こす際、私たちがグッドガバナンス(良い統治)を達成することを支援する目的で行っていただきたいのです。グッドガバナンスとは、透明性、説明責任、国民への敬意を意味します。また、グッドガバナンスとは、民主的な政府を意味します。ビルマを支援するのが、各国政府、国連機関、国際NGOなど、だれであろうと、民主化への前進を支援することを条件に行っていただきたいのです。そのような条件をみたさない支援はビルマの人々にとって真の手助けにはならないのです。」(1999年6月23日~24日、「ビルマの民主化のためのNGOの新戦略」会議にて)

「社会問題と政治問題は分けられると私は考えません。経済問題と政治問題も分けられるとは思いません。政治は,私たちが行うすべての事柄を貫く一本の糸です。なぜなら私たちが好むと好まざるとに関わりなく、私たちは政治的動物なのですから。」(2003年1月7日、アジア社会フォーラムへのメッセージより)

「法と秩序が人々を抑圧するために乱用されないことを私たちは切に望みます。だからこそ、私たちが意味する秩序だった社会というものについてきっちりとした理解を人々にもってほしいのです。秩序だった社会とは、私たちが権利を獲得するために努力することと他者の権利を保護することの間に適切なバランスがとれている社会のことを指します。そのような社会においては、市民が自分たちの権利と義務を認識し、社会的かつ経済的価値が政治的な価値から人為に切り離されることはありません。」(2003年1月7日、アジア社会フォーラムへのメッセージより)

「一致と規律には密接な関係があって、規律を無理強いできないのと同様に、真の一致を強制することもできません。真の一致とは、分散して行ったのでは克服できない障害も、協力して努力すれば克服できる、という確信から生ずるものでなければなりません。」(1995年10月2日、ガンジー賞受賞記念演説より)

「単に自由、民主主義、人権を求めるだけでは充分ではありません。必要なのは闘いをたゆまず持ちこたえ、絶えることのない真理のために犠牲をいとわず、欲望、悪意、無知、恐怖などの腐敗させる力をもつ様々な影響に対抗する、一致した決意なのです。」(1990年10月7日、『恐怖からの自由』より)

「私たちは投資に反対しているのではありませんが、その利益が、政府につながりをもつ単なる少数の選ばれたエリートだけでなく、ビルマの国民に与えられるように、正しい時期に行ってほしいのです。今の時期にビルマに投資を行うことが、本当にビルマの人々の助けになるとは思いません。それは軍事政権を心理的に励ますことになります。・・・現時点での投資は、投資者にとっても、ビルマ国民にとっても利益になるとは思えません。」(1998年3月30日、「ビジネスウィーク」の記事、「どうか他に投資してください」より)

「平和ぬきで行われる発展の途上には、数多くの障害があります。平和、発展、公正はすべて繋がっています。平和を語らずに、経済発展を論ずることはできません。戦場で一体どんな経済発展を期待できますか。・・・基本的人権が無視され、人々の権利が日々侵害されている市民社会では、人々が戦死し負傷する戦場においてと同じこと、すなわち生命が失われるということが起こりうるのです。・・・私たちの国では多くの民族が一緒に生活していますが、共に平和に生きてこられなかったのは、お互いを信頼する状況になかったからです。信頼は平和のために欠くべからざるものです。私たちがお互いを信頼できて、自分が公平な扱いを受けられると同様に、人をもそのように扱う必要を確信できなければ、平和を達成することはできません。」(1999年5月12日、平和会議での演説より)


日本語訳:ビルマ市民フォーラム